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天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず

天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず

みなさま、この言葉をご存知でしょうか。

現在の一万円札のモデルとなっている福沢諭吉が発した言葉で、

人間はすべて平等であって、身分の上下、貴賎、家柄、職業などで差別されるべきではない

という意味があります。

福沢諭吉の生きた江戸~明治時代というのは差別がまだまだ根強く、そういった社会に鋭くメスをいれた諭吉を代表する名言として広く知られています。

ではこの言葉、どういった背景でいわれたのでしょうか。今回は一万円札にもなっている福沢諭吉の名言を深堀してみました。

福沢諭吉

諭吉は天保5年12月12日、大阪府で下級武士の次男として生まれ、大分県で育ちました。

実父が長年藩士として貢献しながら身分格差の激しさゆえに正当な評価を受けない姿を見、このようなものは親の仇であると述べ、これが彼の原動力になっていきます。

その後西洋学を学び幕府の使節団になった彼は訪問先で訪れた香港にて、中国の人が激しい差別・屈辱を受けていることに驚愕します。このようなことから「学び」の必要性を再認識した諭吉は教育へさらに力をいれるようになったのでした。

これを受け此度のこの名言はこうした差別から発せられた差別の不毛さ、理不尽さを嘆いた心境によるものかと思いましたがどうやら違う模様です。

では諭吉は差別をどう感じ、どのような意図でこの言葉を述べたのでしょうか、詳しくみていきましょう。

差別のとらえ方

 

厳しい身分制度にさらされていた父、列強に虐げられる植民地の人々。

こうした惨状をみてきた諭吉の抱いた感情は私の想像とはちがうものでした。

それは、「虐げられるものは学ぼうとしないからだ。それが嫌なら学ぶしかない。」というものです。いわば反骨精神をメラメラと抱いていました。この思想のもと身分に関係なく学びの場(塾)を開き、これが慶応義塾大学の基礎となっていきました。

このように学びを望むものへの門を開いた諭吉、しかしながら学ぼうとしない者に対しては非常に辛辣な意見を持っており「勉強する者は金持ちとなり、勉強しない者は貧乏人となる」と説いています。

長く続いた身分制度により「勉学」というものに馴染みのなかった江戸時代の人々、幕府崩壊が迫る資本主義の本質を見抜いていたからこそ、勉学に励まないものを哀れみ蔑んでいた諭吉。「勉強する者は金持ちとなり、勉強しない者は貧乏人となる」と言ってのけるわけです。

さらには「自分が馬鹿で困窮に陥れば、自分の非を認めるのではなく、富める人を怨むものである」問う言葉も述べています。ごちゃごちゃ言わず勉強して、今の困難を乗り越える努力をしなさいよというわけです。

天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずの意味

勉強して困窮から脱しなさい、その足を引っ張るような人との縁は切りなさいと説く諭吉。

特に足を引っ張る輩への嫌悪はすさまじく、「人間が獣と違う点は、子を教育し、人間としての交際の道を教えるということである」という言葉を用いたほど。子を育てる際、先ずは教育だがどういう人と付き合うか教えれる点が獣とは違うのだといってます。

更に諭吉は、国家間の付き合いであっても野蛮な国とは付き合うなと説いています。この「野蛮な国」を紐解くと、なかなかに諭吉の偏見も激しいなと感じてしまいますが詳細は割愛します。(wikipediaに詳細ありましたので興味ある方は是非福澤諭吉 – Wikipedia

そしてこれを背景に諭吉は生き方について説きます。これが名言「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」へ繋がっていきます。

諭吉は「我々の責務は現代社会に生きた痕跡を残し これを後世に伝えることである」と述べており、これに関わる言葉として「金を残すは下、事業(仕事)を残すは中、人を残すは上」というところに繋がっていきます。

生きた痕跡を残すとは武士だなぁと思ってしまいました。その日に死ぬかもしれぬ状況で自身の生死ではなく、後世に名を遺すという名誉のために魂を燃やした武士。そんな武家出身ならではの諭吉の強い思いが伝わってきます。また金・事業を残すよりも新たにそれらを生み出せる「人」を残すこと、これこそが重要なのだと説いています。

すなわち此度の名言の本当の意味は、

天は人の上に人をつくらず:何物も人の上には立てない

後世の残るものの最上位は人である。歴史的建造物もそれ自体がすごいのではなく、建造した人がすごいのだ

天は人の下に人をつくらず:誰にでもそのチャンスはある

学問は誰にでもできる。それをやるか、やらないかのみである。何もせずに貧乏であることを嘆かずに、勉学に励み、最後には後世に「人」を残しなさい。

ということになります。

こたびの名言が記載された名著「学問のすすめ」は学問にはげまず他を羨み何もしない人たちへ向けた諭吉からのメッセージでした。昔以上に勉学への道が開けている現代、同じ資本主義を生きる我々もこの言葉を胸にとめ、学問へはげみたいものです。

ちなみに「学問のすすめ」出版理由は、複式簿記で企業の利益を計算していく方法を翻訳し重要性を説いたものの学ぶものがあまりにも少なく、お前ら勉強せえよ!との心境から学問をすることの重要性、「学問のすすめ」を執筆するに至ったといわれています。

こういった背景をみてみるのも面白いですね。

 

今日の名言は思わぬ形で非常に勉強になりました!心にバシバシ突き刺さったのでこれからは勉強して、最後には後世へ人を残せる大人になっていたいと思いました。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。